新潮社から出版されている伊坂幸太郎さんの本「フィッシュストーリー」を読みました。その感想文です。
ちなみにこの本は、独立しつつ関連があるようなないような4つの話が載っています。
インスタ(見る専)の本紹介アカウントで見かけて、気になって読みました。
以下、ネタバレを含みます。
1.動物園のエンジン
この本に載っている中で一番短い話です。本の最初に持ってきてくれているので、第一ステップまで読破したぞ!感をお手軽に感じられて良い。
途中で出てくる「彼」が、残されたシンリンオオカミであることは早期に気がつくことができました。アイコンで明確に示されているので、「気づいてくれ!」と言うメッセージだったのかなと思ったり。一方で永沢の男の目的や、恩田や河原崎の背景に隠されたものはわかりませんでした。私は伊坂作品をコンプリートしておらず、さらに人の名前を覚えるのが壊滅的に苦手なので、他の作品を読み始めたり読み直したりしたら糸が繋がるかもしれません。その日を楽しみに待ちます。
2.サクリファイス
珍しく作風がドロドロしてるな?というのが読み終わった時の第一印象でした。金田一に出てきそうな準地形的クローズドサークル、人の命をぞんざいに扱う風習、それを取り仕切る権力者などなど。ミステリーらしく謎解きタイムがあるけれど、解けないままの真相。でもそれは喉に引っかかった魚の小骨ではなく、旅先から帰る時の余韻のようなもの。
ちなみに私は、この話のような動機が大好きです。自分の評判を価値を人生を、ぞんざいに扱う創作上の人間が刺さるんじゃ。なお実在するみんなは自分を大事にしていこうな!
3.フィッシュストーリー
本のタイトルにもなっている話です。時系列があっちゃこっちゃに飛びますが、「今はここの時点の話です!」とわかりやすく示してくれているので、その点の混乱はないです。ただ登場人物が多くて頭がパンクしてもうた。たぶんラストも何かの話と関連しているのだろうが、私にはわからずインタビュアーと同じ反応してた。
チカン許さないマンはゴールデンスランバーのオマージュでしょうか?あの人はマジで許さないマンだったから、ここで出てきた人とは別な気もするけど、詳細は覚えてないのだよなぁ。
4.ポテチ
最後の数ページでベソベソに泣いてしまった。が、なぜこの話のタイトルがポテチんだろうか……とここまで書いて、気づいて読み返して、また泣いてる。視点主側の人たち、ほぼ犯罪者だけど根っこが善人ばかりだからか、読んでいて嫌な気持ちにならない。このバランス感覚が惹きつける魅力ってやつですか?DNA検査する人だけは何かの話で読んだな〜ってピンときた。
母ちゃんと大西の会話のテンポが好きです。
なんというか、「有名な曲だけ知ってるバンドのライブのコンサートに行った」気持ちでした。全部の曲がわかるようになってから読むとまた違うんだろうな〜。でも逆に、既出のものをこの後に読むのも乙なんじゃなかろうか。その時を楽しみに待ってます。
あとはさすがの構成力、しびれる〜〜!時代も場所も違う話なのに、読者をその世界に引き込む力とスピードが強すぎる。
以上です。また本を読んだらぽちぽち記事を書きたいです。